精神科教授による健康セミナー(平成28年7月開催)の質疑応答

 

平成28年7月20日 講師:兼本浩祐 教授(愛知医大)
雇もれび質疑応答

統合失調症について、急性期と慢性期の違い

前駆期(発病前)と極期(幻覚・妄想)と回復期(徐々に回復する)がある。 急性期を何度も繰り返すと脳の配線が書き換わって、だんだん重症になっていく。 急性期を薬で止めた後は脳には自然に回復していく力がある。 慢性期は、回復期が長くて後遺症が残った状態、または急性期の症状が慢性的になった状態。

Q 自分の服薬している向精神薬が女性週刊誌で「飲んではいけない薬」にリストアップされていた。心配だ。

A 薬はすべて毒だともいえるので、女性週刊誌の言っていることは間違いではない。しかし、薬を止めることで生活が破綻してしまう人もいる。記者は薬を止めて生活が破綻したり、あるいは自傷他害が起こってしまったとしたらどういう責任を持つのだろうか。何の責任も取らない週刊誌の記事は無責任だと思う。

統合失調症の波と躁うつ病の波はどう違うのか?

統合失調症の急性期の波は投薬によって起こらないようにできることが少なくない。 自然な状態では躁うつ病の波は、年単位で起こる。その波を小さくすることが治療。

慢性期統合失調症患者の特徴

慢性期は、回復していく途中なのでその人に応じた負荷のかけ方が必要。場合によっては最初は人にあまり会わずに、静かにしている時期が必要な場合もある。これを怠けているのと勘違いしないようにすることも大事。 大きな後遺症(大好きだった趣味ができなくなる)などがなければ、薬を飲みながら急性期よりは少ない維持量に向けて徐々に調節していく。

意欲減退している患者への対処法

回復期の最初の時期は休むべき時期なので、無理に意欲を出して外へ出ようと焦る気持ちを抑えることも必要。その後は徐々にコンビニに行って帰る、主治医と話す、簡単な趣味のことをやるなどの時期を経て回復するのを待つ。皿洗いや草むしりなども悪くない。長い人では数年かかってゆっくりと回復していく場合がある。

なぜ閉鎖病棟はキツイのか?

本人が回復していると思う時期と客観的に大丈夫と思う時期がずれるのできつく感じるのだと思う。

薬が効きやすい症状と効きにくい症状

極期の陽性症状には効きやすく、慢性期の陰性症状(やる気がでない)には効きにくい。

病気を持っていても無理のない働き方とはどんなものか?

回復期の最初は草むしりや皿洗いのような負担が軽く、体を単純に使う仕事で肩慣らしをする。あまり最初から難しい仕事や趣味をいくつも同時に始めようとすると再燃の危険が高まる。

職場で必要な支援について医師の視点から

ジョブコーチなど職場と患者の調整役を入れると上手く仲立ちができることがある。

発達障害の診断について

発達障害は誰もが一定程度そうした傾向性をもっている状態であって、発病する病気ではない。極端にいえば個性であるともいえ、そうした個性を極端に示す人が少数なので、社会との間に軋轢が生じるだけだともいえる。本人がその診断を通してより生きやすくなるなら発達障害と言えばいいが、生きやすくならないなら障害という必要はない。

発達障害に薬物療法はどの程度効くのか?

発達障害そのものには薬は効かない。ただし、二次的な障害でうつ病などを起こしているとそれには薬が効く。

薬物療法以外の治療法の効果は?どんな病気に効くのか?

療法は薬物と組み合わせて作業療法や認知行動療法、精神療法、心理療法がある。

将来の治療

ドーパミンブロッカーが発見されて劇的に薬が進化した。薬はある意味すべて一定程度おおは毒であるが、その毒の力をできるだけ害が少なくなるように借りて病気を抑えて生活の質を上げることが大事だと思う。魔法の薬は当分の間でないと思う。地道に今ある治療法を実行していくことでかなりのことはできる。

その他
妊娠は薬を飲みながらでもできる。薬を止めて妊娠するのは妊婦の時に極期になって入院するなどのリスクがある。子供には影響はてんかんの薬だと3から6%。統合失調症の薬の場合でも同程度か若干低いレベルだと言われている。 ジプレキサは肥満になる人が多い。しかし、ジプレキサしか効かない病気の場合もある。ジプレキサ以外も効くなら他の薬に変えることで食欲過多が抑えられる可能性はある。

感想) いろいろ質問できて、気持ちが明るくなり、出産、子育ても、希望もてました。これからも、お勉強会で、希望もっていきたいです。